< STUDIO LIBERTINY 01 SOMETHING SCRATCHED >
STUDIO LIBERTINY 02
December 17, 2007 in Design, Eindhoven
続きです。Tomas AKA Studio Libertinyその2。

日本についてどんな印象持ってる?
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とても人口密度の高い国。でもヨーロッパに似てるように感じるなあ。テクノロジーとライフスタイルが密接にかかわり合っているところとか。そういった中で京都みたいなトラディションがちゃんと息づいているのはとても面白いと感じるね。是非一度行ってみたいと思ってるよ。
それじゃあ日本人デザイナー誰か知ってる?つーかさっき教えたのは覚えたか?
(丁度このインタビューをする直前までTomasが出展するDesign Miamiの話をしてて、そこで2007 Design of the Yearをゲットした吉岡徳仁氏について説明していたのです。)

Design Miami 07に向けて準備中@自宅。
ははは、その通り。これまで誰もしらなかった?
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いやいや、名前はよく聞くけど。こっちゃになって覚えられないんだよ。例えばさっき話してたVitraで椅子を発表したデザイナー、、、彼の名前はなんだっけ?
ナオトフカサワね。
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そう。フカサワ!最近デザイン雑誌なんかではちょくちょく名前を見るから、彼の仕事は知っていた。
これって他の奴らからもよく言われるんだけど、名前と顔と作品が一致しない感じ?
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そうだね。やっぱり顔が違うっていうのは大きいよ。違う人種の顔はなかなか覚えられないからね。毎朝鏡で見ている自分の顔とあまりにもかけ離れているから、輪郭や皺みたいな特徴を掴む事がなかなかできなくってさ。顔より作品で覚える感じだよ。

現在Studio Libertinyは、Tomasとオランダ人アシスタントの二人体制。
ついでにフェイバリットなデザイナーとか影響を受けたデザイナーはいる?
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そうだな、、、Philippe Starckはかなり好きだね。
ちょっと意外な感じがするけど。
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そりゃあもちろんスタルクみたいなデザインをしたいとか、そういう意味じゃないよ。尊敬できるのは何と言っても彼のスタミナ、それにコンセプチャルなところだね。
コンセプトを突き詰めていく姿勢って事?
いやそうじゃなくって、例えばDroogなんかそれこそ純粋にコンセプトだけを突き詰めていってるわけでしょ?スタルクの場合はあるストーリーなり社会批判なりをデザインに内包させようとしてはいるけど、そのさじ加減が絶妙なんだ。例えばMemphisに代表されるイタリアンデザインの過剰な感じとは正反対だよね。スタルクはフォルムやファンクションを活かしつつ、うまく自分の表現や主張をデザインに落とし込んでいる。かといって日本の工業デザインのように純粋に機能主義的でスパルタンな感じは受けないし、そのバランス感覚は素晴らしいと思うね。

Nude2007の会場でプレゼンするTomas。
ほほう。じゃあ今度はStudio Libertinyとしてのデザインに対する考え方について話してくれる?
OK。まず言っておきたいんだけど、自分自身デザイナーとしてすごい葛藤があるんだ。なぜかというと自分はものすごく自己中心的で、エゴイストで、常に前に出たがるタイプだから(笑)。
んーでも人は多かれ少なかれ誰でもそういうもんじゃないの?特にデザイナーとかアーティスト。
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うん、普通と言えば普通だよね。だけどそれがすごく嫌なんだ。例えば饒舌に自分をアピールするような人を見るのは耐えきれない。他人に注目が集まるのって好きじゃないんだよね(笑)。だから常に自分に対しても、自己主張を抑えるように必死になって自分自身と戦っている。どんなに素晴らしくて美しいアイデアが浮かんだとしても、それをあらかさまに見せびらかすような真似は絶対にしてはいけない。常に謙虚になるように心掛けているし、謙虚でありながらいかに強いデザインができるのかを探っているんだ。
ほほーこんなパーソナルな事を普通に書いちゃって平気かね?
もちろん問題ないよ(笑)。そうそう、DAEの卒業製作の時なんかファイナルプレゼンテーションの2ヶ月前にレッドライト(悪い評価)をくらっちゃってさ。自分にとって最初で最後のレッドライト。それは自分があまりにも自信満々に上段から見せびらかすようにプレゼンテーションをしていた事に対する、先生からの忠告だったんだ。自分のデザインに対する過剰な自信とパフォーマンスが心象を悪くしたって訳。もっと真摯な姿勢でデザインに取り組めって言うメッセージだったんだよ。
へーそうだったんだ。他にもなんか面白いエピソードある?
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紙を素材として用いたベースとテーブルのシリーズ(”What is Nature?”)を例に挙げてみよう。これらは全てスペクタクルなビジュアルイメージと、モノの内包している精神的な意味合いとのせめぎ合いの中で生まれたんだ。紙にプリントされたイメージはそれだけで強力なビジュアルになるよね?でもそういった自明なイメージを捨てて、他の可能性つまり紙の本質を引き出したかったんだ。そして大袈裟に飾り立てるのではなく、観る人の心に自然と響くような深みのあるデザインを目指した。

“What is Nature?” テーブルの最新バージョン for Design Miami 07。
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最初のプロトタイプは2年前のDutch Design Weekの時に”Lift Off”というエキシビションで展示したんだけど、その時に50歳くらいの教師風な男性が見に来ていて、このテーブルについて聞かれたんだ。「一体これは何だ?」ってね。だからこうやって手で本をめくってみせながら、これは本をプレスしてテーブルトップに埋め込んであり、糊付けも何もされていないからこうしてページをめくって中を読む事もできますよ、って丁寧に説明した。そうしたら「おお、これは本なのか!?」って、まるでそれが宇宙から来たかのように驚いた様子で自分でもページをめくったりし始めたと思ったら、突然涙を流し始めたんだよ。

一見真っ白なテーブルトップもご覧の通り。
マジっすか?
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ホントホント。彼のその「エクスペリエンス」を邪魔したくなかったから自分は何も言わずにその場から離れた。何が彼をそうさせたのかは分からないけど。本というモノの持つ歴史かもしれないし、彼は本がすごく好きだったからかもしれない。テーブルのデザインが持っている「何か」が彼の心を突き動かしたんだ。自分が成し遂げたいのは、こういった体験をより多くの人にしてもらうっていう事。自分のデザインでオーディエンスの心を動かしたい。何かしらの感情を人の内側から沸き起こさせるようなエンターテイメントな体験をより多くの人に向けて提供したいんだ。といってもハリウッド的な安直な方法ではなく、より内的、精神的な意味でね。
表層じゃなくて深層ってことね。
うむ。そういったエクスペリエンスをデザインする為のテーマとしてネイチャーとカルチャー、そしてテクノロジーとトラディションといったサブジェクトを常に念頭に置いている。それら二つの相反する要素を単にコントラストとして用いるのではなく、もっとありのままの、本質的な姿を理解する為のエクスペリエンスをデザインしたいと考えているんだ。だからこそ自分のエゴイスティックな部分を押し殺そうと努力しているんだよ。自分のエゴでエクスペリエンスを阻害してしまっては元も子もない。

“What is Nature?” Paper Vase。
でも作品の深いところまで理解してもらうっていうのはなかなか難しいんじゃ?
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一筋縄ではいかない。例えばスタルクのデザインなんかは表層に近いと思うんだよね。ちょっとひねくれてて注意を引くし、それでいて多くの人が購入できる。マーケットのニーズには十分と応えているけど、深層の経験にまで至っているかというとそうではない。スタルクだってやろうとすればより深層に迫るようなデザインもできるだろうけど、マーケットがそれを求めていない。ハリウッド商業映画と自主製作インディーズムービーとの違いみたいなものだよ。デザインに対して深層まで求めているオーディエンスは限られている。でもStudio Libertinyとしてそういった限られたオーディエンスに向けてデザインし続けていきたい。さっきも言ったネイチャー/カルチャー、テクノロジー/トラディションといったサブジェクトの中でも、特に人が普段意識しないような部分をデザインを通じて伝えたい。
どんな風に伝えたい?
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例えば地球の写真を見せて、「はいエコロジー」とか、そういう安易な表現の真逆をいきたい。写真や文章でダイレクトに説明するのではなく、豊かで力強い経験として間接的に、そして記憶に残るように力強く訴えかけたいんだ。それもより人間の深層心理に向けてね。力強さと言っても、ポップアートのようなヴィジュアル的な事ではないよ。世界的に有名なマリリンモンローを鮮やかなカラーで刷る、アンディーウォーホルのそのコンセプトは明快で確かに力強いけど、そこに深みはないよね?自分の目指しているのは絵画で例えるなら抽象表現主義。荒々しい筆跡が何かを想起させるけど、それを感じ取った本人もそれが何なのかはっきりと分からない。そんな人の無意識に訴えかけるような、感情的で隠喩的な表現方法をデザインに落とし込んでいきたい。
そこらへん話すと長くなるからまた今度お願いするわ。ってことで最後に今後の活動予定をお願い。
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そうだな、また次の機会にじっくりと(笑)。予定だけどまずは今年のDesign Miamiに招待されたので、今製作している”What is Nature?”の最新バージョンを展示するよ。それからロンドンでインビテーションオンリーの展示会がある。タイトルが”Small Show, Huge Talent”(笑)。






Paper Vaseの製作行程。紙にプリントされたイメージが立体的に浮かび上がる。
ひねりのないタイトルだな(笑)
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ははは、自分で考えた訳じゃないから勘弁してくれ。とにかく、若いデザイナーを集めた展示会で、キュレーター、コレクター、ジャーナリストに向けたエクスクルーシブなものだよ。その次にニューヨークのMOMAで開催される”Design and Elastic Mind“というエキシビションでHoneycomb Vaseが展示される。これはすごく良い展示になると思うから期待しててくれ。
ほい。今日は忙しい中ありがとー。
といった感じでこのインタビューをしたのはDesign Miamiの2週間くらい前だったかな?ちなみにこのTomas、かなりの切れ者で、他にも面白い話が色々としてくれるのでまた機会があれば書きたいと思います。
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2 COMMENTS
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Hi, kanazawa は雪です。
おもしろいインタビューですね。
これだけ話せるデザイナーさんて…
でも、も一つカンドーしたのが、あなたさまのホンニャク力。とっても伝わり安くて、参りました。こんなに日本語うまかったか〜
Comment by hf — 16 February,2008
>>hf氏
一応日本生まれの日本人ですよーははは
Comment by taka — 19 February,2008